ブランの備忘録

主に個人の備忘録です。

ミサイル万能論の虚構。その1

 技術系の備忘録のはずが、なにをトチ狂ったのかこんな記事を投稿してしまいました。ゆるして

はじめに

 ミサイル万能論とは簡単に言えば、「ミサイル最強じゃね?てか機関砲いらなくね?強力な運動性能もいらなくね?」っていうかんじです。しかしこのミサイル万能論は1950年代~1960年代当時には早すぎました。現在こそAIM-9XやIRIS-T、ASRAAM、そしてわれらのAAM-5の登場でミサイルの誘導精度と運動性能は格段に向上していますが、当時は誘導精度や運動性能がひどく、太陽に向かって飛んでいくこともあったそうです。そこで、当時の空軍関係者は、「やっぱり格闘戦が一番だね。」となり、運動性能が重視され、機関砲を搭載した戦闘機がつくられるようになったわけです。

 

 というのが一般的なミサイル万能論の見解です。この理論はベトナム戦争でアメリカ空軍がベトナム空軍にボコボコにされた理由としてよく出されます。しかし、当時アメリカ空軍がフルボッコにされたのは本当にミサイル万能論が理由なのでしょうか。この連載ではそれについて超個人的主観を交えて語ります。

ベトナム戦争でのアメリカ空海

 ではまず、アメリカ空軍および海軍がベトナム戦争に投入したおもな戦闘機をあげてみましょう。(戦闘爆撃機も含みます)

・F-100

・F-104

・F-105

・F-111

F-4

・F-8

F-101は偵察任務で使用されたので除外しています。上4つは空軍、F-4は空軍と海軍の両方、F-8は海軍が運用していました。では軽く個人的な主観を交えながら少し解説を。

 まずはF-100のすーぱーさぶれ君。この子はノースアメリカンが開発しました。そう、あの第二次大戦最優秀戦闘機とうたわれるP-51や、朝鮮戦争で世界で初めてジェット戦闘機同士の戦いをMiG-15と繰り広げたF-86を開発したメーカーです。このF-100は当初はF-86の後継として純粋な制空戦闘機としてつくられた…はずでした。しかしその中途半端な性能や空軍のせいで…

 お次はF-104、愛称は三菱鉛筆。直線番長として名高い人類最後の有人戦闘機(大嘘)です。実はあまり知られていませんが、こっそりとベトナム戦争に参加していたのです。そして、任務の性質上仕方のないことですが敵戦闘機を一機も撃墜できませんでした。ちなみに撃墜はされました。

 お次はF-105、愛称はサンダーチーフ。無駄にかっこいい。このF-105はWild Weaselとして運用されたG型が有名です。死ぬ覚悟で敵地上レーダーに突っ込んでミサイルをぶっ放してヒャッハーするやつですね。個人的にはエリア88で結構イメージが焼き付いています。

 F-111はもはや伝説。あの天才マクナマラが「なんで空軍と海軍は別の戦闘機使ってるの?非効率すぎるでしょ。せや、統一すればいいやん!」と余計なことを思いついてしまい、ジェネラルダイナミクスが開発してしまいました。世界初の実用可変翼機としても有名です。ちなみにこんな駄作機をつくったジェネラルダイナミクスは後にF-16という傑作を生みだしてしまいます。なんというか、ほんと世の中分からないものです。

 お次のF-4はもともとは海軍が運用していました。しかし再び登場マクナマラが、「お前ら仲良く戦闘機を共通にしろ」命令を出したことにより、空軍がF-110としてしぶしぶ採用しました。そう、本当にしぶしぶです。後に命名統一で空軍もF-110からF-4と名前を変えます。

 最後はF-8です。この戦闘機、日本での知名度は無駄に高いです。理由は例のエリア88。主人公が乗っていた機体として登場し、「なぜか日本で知名度が高い戦闘機」としてF-20、JAS 39とともにトップを飾る戦闘機です。これ以上解説すると後々のネタバレになるため省略。

 

 さて話を戻します。ほとんどの方曰くベトナム戦争でアメリカ空軍はミサイル万能論のせいで負けたそうです。ということはほとんどの機体は機関砲を搭載していないはずです。では上記の機体で機関砲を搭載していない機体を列挙しましょう。

F-4

……。以上です。はい。(F-111は状況に応じて機関砲を搭載できるようになっています。常時機関砲を搭載していなかったのはこいつだけ)上にあげた6つの機体のうち、機関砲を搭載していないのはこいつだけです。こいつ一機が機関砲を搭載しなかったせいでミサイル万能論に結び付けられるのです。ここまできたら疑問ですよね。本当にミサイル万能論なのか、というかそもそもミサイル万能論なんて存在したのでしょうか。先にネタバレしちゃうと、アメリカ空軍がベトナム戦争でボコボコにされたのはミサイルではなく(もちろんそれもあるが)、深刻な運動性能の不足だったのです。次はなぜ運動性能が不足していたのかを見ていきます。そして、この連載を読み終わるころにはあなたはアメリカ海軍ダイスキネーになっているはず。